未来を予測する最善の方法は,それを創り出すことだ.

アラン・ケイはアメリカの計算機科学者です.彼はしばしば「パーソナルコンピューターの父」と呼ばれるのですが,実は市販されたパーソナルコンピューターを設計したことはありません.その代わり,アップルのMacintoshコンピューターのモデルとなったゼロックスのAltoコンピューターの設計を主導しました.また「理想的なパーソナルコンピューター」として「ダイナブック(Dynabook)」というコンセプトを提唱しました.

アランの業績として「Smalltalk」というプログラミング環境の開発も外せません.彼によると「1+2」という数式は

「『1』という『オブジェクト』に『+』という『メッセージ』が『2』という『パラメーター』を伴って送られる」

という意味なのです.意味がわからないように見えますが,このように考えることで数式とたとえばiPhoneの画面上のボタンをタッチを押すことが同じ構造になるのです.iPhoneの画面上のボタンを押すことは

「『ツイートしますか?』という『ダイアログ』に『ボタンを押す』という『メッセージ』が『はい』という『パラメーター』を伴って送られる」

と解釈できますものね.

ところで,アメリカのキャピタルファンドが「未来を予測する最善の方法は,それを作る人に投資することだ」と言い換えたことも(そこそこ)有名です.これはアメリカンなジョークですね.

原文は

The best way to predict the future is to invent it.

でした.

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